夜がまた来る ニューマスター・デラックス版 [DVD]
ハードボイルドロマン。犯罪、レイプ、復讐とフィルムノワールに広がる世界。村木と名美のコンビ最高傑作だろう。テレビでは決してえがけない裏の世界。ラスト「ブレードランナー」のような対決シーンと、ワンシーンワンカットの名美と村木のせつない結末。夜明けの新宿が劇的だ。ただ今の石井隆は、破廉恥な話題性のみの裸の世界しかえがけないのが淋しい。
ヌードの夜 ニューマスター・デラックス版 [DVD]
いい大人が、無様に醜態を晒しながら、必死に足掻く。
同じ田舎出のヤクザに情婦にされ、それを清算しようとする女:名美。
大手証券会社に勤務した経験のある、何でも屋:村木。
村木と名美の、必死な姿は滑稽であり、物悲しさを感じさせる。
名美が時々、「トレンディ」という言葉を発するたびに、時代を感じた。
※私が最も気に入ったシーンは、死体をスーツケースに詰めた村木が、
スーツケースを引きずりながら、名美を追いかけるシーン。
あのスーツケースの中に、殺された根津甚八が折り畳まれて、収納され、
地下鉄の階段をガタガタさせながら、引きずられるなんて、
想像しただけで、かなりエグイと思います。
打楽器通信
錚々たる現代音楽作曲家たちの打楽器作品を1曲ずつ鑑賞できる贅沢なアルバムです。
M1,2は、ボンゴ、タムタム、大太鼓のリズムが複雑に絡み合う作品。
M3は、マリンバ、スティールドラムなどが点描のように静かに散りばめられた作品。
M4,5,6は、ヴィブラフォン独奏の静かな小品集。
M7は、5オクターブのマリンバ独奏が躍動する作品。
M8は、アフリカ打楽器、木鈴、小型ゴングなどの短い独奏が連続する作品。
様々な打楽器独奏を、いずれも個性的な作曲家による曲で聴け、しかも難解さがなく飽きないアルバムです。
現代音楽の入門盤としても良いし、プログレッシヴ・ロックやフリー・ジャズのファンも楽しめると思います。
人が人を愛することのどうしようもなさ [DVD]
まず、ミステリアスな“B級エンターテイメント作品”としてはなかなかの出来栄えである。
ネタバレになるのであまり細かいことは書けないが、2重3重の劇中劇というプロットが、巧みで、面白い。ラストに至る展開まで楽しめた。しかも、そうしたプロットを組み立てることによって、この作品そのものの出来にもエクスキューズが与えられる結果にもなっているし…、というのは少々穿った見方というものだろうか?
…で、なにかと話題の、主演女優の“裸体露出”について。
この“余りに過剰な裸体露出”は確かに過激ではあるのだが、そこで製作者(主演女優も含め)が意図したのは、ただ単に観客のスキャンダラスなものに対する猥雑な好奇心を煽り、満足させるということなのか?それとも、主人公の女性の普段は抑圧されている内面的狂気をそれによりさらけ出し、より作品に芸術的深みをあたえようとしたということなのだろうか?
もし前者の場合ならば、その意図は十分に成功しているだろう。いくら18禁とはいえ一般映画でここまでやるか?というポルノチックなシーンのオンパレードだし、それに対し主演女優も「何故に?」と思えるほど応え、とにかく脱ぎまくっている。が、もしそれが後者であるとするならば、製作者は描き方として明らかに努力する方向性を間違えているというのが、私の感想だ。
このぐらいの面白いエンターテイメントを組み立てる力のある監督ならば、(同じ物語であっても)別な表現法でより深く“人が人を愛することのどうしようもない”世界の狂気や悲しみを描けるのではないかという気がするし、異なる見解をお持ちの方もおられると思うが、私にとって本作に見られる“過剰で過激な露出”は、“結果として観客のスキャンダリズムやセンセーショナリズムに対する興味の中に搦めとられてしまうもの”を超える、表現としての必然性も説得力も感じられるものではなかったからである。
名美・イン・ブルー
レンタルショップで、この人の作品のパッケージを見るたびに、いつか原作をみて興味があり購入した。
名美とそれをとりまく環境は、ありえないけど、最後まで、どきどきした。
さらさらした恋愛物語ではないけど、私は、こうゆう世界も素敵だと思った。