隠し砦の三悪人 [DVD]
故黒澤明監督作品。戦乱で破れた国の姫を友好国に脱出させるために、家臣が放浪していた百姓2人を道連れに金二百貫をもって敵国突破を試みる冒険活劇。
特典映像で監督が話すように、解りやすくて面白い映画がいい映画だ、の言葉がぴったりの映画。主人公が機転と技量で数々の困難を突破するRPGの先駆けのような内容に、欲に目がくらんで懲りない失敗を繰り返す人間の性がユーモラスに描かれており、見所は尽きない。本作品で強調したい点は、エキストラを含めたすべての配役が危険を顧みないアクションを演じていることである。冒頭の数百人の奴隷が暴徒と化して石段を駆け下りる危険な映像には鳥肌が立った(危ないって)。CGに頼る現在では絶対に撮れないように思うし、『パフューム』のラストなど比べものにならない。三船敏郎が疾走する馬上で戦うシーンも危険なアクションを本人が演じている。
冒頭の落ち武者が空に手を伸ばしたまま息絶えるシーン(死後硬直がはじまる前にこのような姿勢で死亡することはあり得ない)や、槍での決闘シーン、ラストの城内シーンなどやや芝居がかりがすぎる感もするが、時代考証やリアリティーを度外視した娯楽ものの演出と見るべきだと好意的に解釈したい。付録の冊子にある上原美佐(雪姫)の普段着のスナップ写真は、劇中の雪姫よりも美しい。
伝えたい映像を表現するために、現在はCGを多用しているが(それ自体は否定しないが)、そのようなもの抜きに娯楽作品に必要な要素は何かを考えさせられる作品として勧められる。このシリーズはとにかく値段が高いのが難点であることと、個人的には『赤ひげ』や『七人の侍』の方が好きなので、これと比較する意味で敢えて星4つとしたが、星5つとする他のレビューにも異論はない。
黒澤明 MEMORIAL10 8:隠し砦の三悪人 (小学館DVD&BOOK)
映画の内容については、言わなくてもこれを買おうと言う方々ですから、殆ど知っていると思いますし、傑作だと言う事も解りきっていると思いますから省略させて頂いて、問題は32Pに及ぶブックレットです。中々いいお値段ですから、DVD等の映像作品はもう持っていて、同じ内容で+α(つまりブックレットの内容)になるが、それでも良いぜって言う方や、DVD持ってないけどこの映画は大好きで、是非ともDVDが欲しい!というファンの方にはお勧めできます。
ブックレットでは、劇中の冒頭で衝撃的な最期を遂げた落武者役の加藤武さんのインタビュー等が個人的にオススメですかね。初めてこの映画を見たのが幼稚園の時でしたので、はっきり言うと何もかもが衝撃でしたが、特に加藤武さんの死ぬシーンと石段のシーンには震え上がった憶えがありますので、色々と楽しく読めました(結構勉強にもなるし)。
勿論、あの石段を暴徒と化した人々が駆け下りる件の事も書かれてあります。
何より山田洋次監督の大衆娯楽映画に対する思い入れが伝わるインタビューが素晴らしい。
これは、映画・映像業界に行きたいと思っている人だけでなく、クリエイター志望の人全てに買って頂きたい、そんなDVD&BOOKですね。
ついでに言うと、黒澤映画は声聞き取り辛く、台詞が解らないと言う人、結構いると思うんですが、このDVDのメニューでは日本語字幕が選べるようになっています。もしよかったら字幕でも楽しめるので、試してみるのもいいかと思います。
隠し砦の三悪人 オリジナル・サウンドトラック
「ローレライ」でコンビを組んだ樋口真嗣監督と音楽・佐藤直紀氏の2度目の作品。
樋口版「隠し砦の三悪人」はリボーンということで人物設定や物語などを黒澤版「隠し砦の三悪人」とは別物になりましたが、音楽も佐藤勝氏の音楽とは全く別物の、ハリウッド大作のような壮大なスコアになっています。
さて、樋口×佐藤コンビ初作品「ローレライ」の音楽の雰囲気はハンス・ジマー風な感じでしたが、今回は全体的にジェームズ・ホーナー風な感じでした。
主役である武蔵と新八のテーマは明るく、敵役である山名のテーマはおどろおどろしく攻撃的で、特に4曲目の秋月側のテーマの美しく、悲哀に満ちたメロディは必聴です!
ハリウッド映画のスコアの真似だ!二番煎じだ!と批判する人もいるでしょうが、単純に日本でこれだけハッタリの効いた(良い意味でですよ(^^ゞ)音楽を作れる人が出てきたことを喜ぶべきでしょう。
(しかし黒澤版「隠し砦」の佐藤勝氏のタイトル・バックの音楽はどこかに入れてほしかった…)
ちなみに、このサントラには劇中の山名の火祭りの音楽は入っていないので、そこを気にする方はご注意を。
隠し砦の三悪人 [VHS]
壮快な気分を味わえます。
「スター・ウォーズ」トリロジーを観て育った世代にも、
十分にアピールする作品でしょう。
物語の展開にも惹きつけられますが、
登場人物が鮮やかに描き分けられており、
それぞれの、違った立場における生き方の
その一つ一つが心に残ります。
特に、上に立つ者の気高さ、徳、
仕える者の忠義心が印象的です。
ユーモア、かっこよさも満載です。
さぁ、レーア姫、3PO、R2が出てきますよ。
「スター・ウォーズ」を楽しまれたあなたに
ぜひお薦めします。
隠し砦の三悪人<普及版> [DVD]
再映画化されるそうです。嵐の松本潤が主演、長沢まさみ、阿部寛、宮川大輔が共演、監督は樋口真嗣(「日本沈没」をリメイク)。東宝で2008年5月10日公開予定。
え〜と、一言でいうと、リメイク止めませんか?ということなんですが。
「スター・ウォーズの原点!」という宣伝をすれば売れる、という計算なのでしょうが、、、。
その計算は、面白くなくても話題性があれば、観る、買う、売れる、ということなのでしょうが。面白くないものを見せられた、買ったほうはたまりません。
確信犯で悪質ではないでしょうか?内容はどうでもいい、とにかく話題になり売れればいい、というのは。無能の証しではないでしょうか?
それともスポンサー、投資会社が、作品の出来不出来に関係なく、黒澤効果とスターウォーズ効果、リメイク作品を観たいという心理、これだけの出資で、まぁこれだけのアガリか、とそろばんをはじき、面白くなくていいから、これをやれ、若い俳優をつかって、ということなのでしょうか?
出来上がる前からそんな評価はない、と思うかたもいらっしゃるかもいるかもしれません。
でも、分かるのです。間違いなく駄作です。(賛同されるかたも多いと確信します。)
日本の映画界、TV局、リメイクはもうやめませんか?成功例ないですから。先がないですから。
そして、観る人もボイコットしませんか?リメイク映画を。
おっと、黒澤オリジナルは星5です。(一応、評価。他の人のレビューを参考にして下さい。皆さんのレビューは愛情溢れていますね。あ〜あ。)