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オペラ座の怪人 (角川文庫) 映画はハリウッドで、ミュージカルはロンドン・東京・ニューヨークその他世界各国で、全くグローバルにそして実に様々な解釈によって創り上げられてきたこの作品。
何がこれほどまでに人々を魅了するのだろう。
創作されればされるほど妖しい美しさを増してゆくこの作品。映画によってその華やかさは頂点を極めた感がある。
そして、この本。
ガストン・ルルーの書いたこの原本を読むと、華やかさより美しさより、まがまがしい気味の悪さが全編に流れ出てきて止めようがない。
映画で目にしたジェラルド・バトラーの甘いマスクや色気のあるまなざしは忘れた方がいい。
ブロードウェーを魅了したマイケル・クロフォードやヒュー・パネロの艶やかなバリトンも思い出さないほうがいい。
エリックという名で登場する「怪人」は、年取っていて肉体が死肉でできていて、骸骨のような顔には鼻もなく、悪賢く凶暴で徹底的に悪人として描かれる。映画やミュージカルよりずっとストーリーの周辺が複雑で全体の展開がまわりくどく、登場人物も皆アクが強い。
ロマンティックなものはあまり期待できないし、映像から得たイメージからもかなりかけ離れた印象が残るが、なにしろこれが原本なのだと認識するしかない。
ギャップを楽しむ事ができれば、それはそれでおもしろい。私は楽しんで読む事ができた。

オペラ座の怪人 (創元推理文庫 (530‐2)) アンドリュー・ロイド・ウェバーの舞台化でも有名な作品。
もっとも、原作と舞台とは内容が少々異なります。
ただ読後の余韻からいうと、やはり原作が一番でしょう。

他社からも翻訳されていますが、私個人としてはここかも。
いえ、好みというものがありますからなんですけれど……。
巻末に掲載されている映画版の写真はある意味びっくりですよ。


オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン [Blu-ray] 映画館で上映したときと同じのなにやら違和感の強い日本語字幕が"日本語1"に、より正確な翻訳が"日本語2"になってます。
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