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42年ぶりのサウンド。懐かしさがありながら、少しも色あせていない。若かりし頃が思い出されます。
風の良寛 (文春文庫)
瀬戸内寂聴さんの「孤独を生ききる」という文庫本を読んでいたら、
最後の方で良寛に関する記述があり、何となく興味を持ってしまいました。
ちなみに「孤独を生ききる」の方は、女性向けの本だったようで、
男の自分にはよく分かりませんでした。
家を棄てて、家族を棄てて、何もかもを棄てて、無為に生きる乞食僧、
というのが良寛の実像のようですが、確かに本書を読む限り、そんな
感じですね。現代風に言えば完全にホームレス状態です。
草庵という簡素な住まいはあったようですが・・・
この本では良寛の残した詩や歌がたくさん紹介されています。
原文や読み下し文ではなかなか意味が分からないのですが、
著者が分かりやすい意訳を付けてくれているので、なんとか意味は取れます。
なかでも私がとても印象的だった言葉が「清貧」というものです。
辞書によれば、私欲を捨てて行いが正しいために、貧しく生活が質素であること。
少々カッコつけて言えば「清く貧しく美しく・・・」ということでしょうか。
良寛は道元の正法眼蔵や老子や荘子を座右の銘とし、生涯を通じてそれを
ひたすら実践した人です。
本書によれば、正法眼蔵には以下のような記述があるそうです。
学道の人は、まずすべからくらく貧なるべし。財多ければ、必ずその志を失う。
貧なるが道に親しきなり。
また、荘子には以下のような記述があるそうです。
吾、以(おも)えらく、無為こそまことの楽なりと。又、俗の大いに苦しむところなり。
故に曰く、「至楽は無楽。至誉は無誉」と。
現代社会において、良寛の生き方を実践することは、ほとんど不可能だと
思いますが、彼から多くのことを学ぶことができます。
自分なりの解釈では、以下のような人生を送ることだと思います。
・名利を求めず清貧に生きること。
「人格者」とはこのような人のことを言うのではないでしょうか。
決して、社長・実業家・政治家・学識者のような人を指すわけではないのです。
このような人はむしろ人格者の対極にいる人です。道元ならそう言うでしょう。
ただし、ここに1つの問題が生じます。
このような生き方をしていると、女性にはまったくモテないでしょう。
女性は貧乏な男が大嫌い、女性は地位や名声のある男が大好き、
女性はお金持ち(利益を生む男)が大好き、、、まったく逆ですよね。
男は本能的に女を求めますが、その女は名利を求め清貧を嫌悪する。
これはいったい何を意味しているのでしょうか?
答えは明白ですが、それを言うと世の女性に袋叩きにあいそうなので言いません。
さて、本書を読み終わった後で世間を見渡してみると、今の世の中はどこまで
汚れてしまったのかと、心の底から悲しくなります。
私利私欲を満たし、人を騙し、人を傷つけ、欲望のままに貪り合う。
私はもともと貧乏ですし女性にも相手にされていないので、
「名利を求めず清貧に生きること」を座右の銘にしたいと思います。
良寛が万葉集の歌に触れて大きな喜びを感じたように、
私は音楽の旋律に触れて喜びを感じるような人生を送りたいです。
なお、ヘタな人生論より良寛の生きかた(河出文庫)という文庫本もお勧めです。
こちらは、原文や読み下し文はなく、現代語訳(意訳)だけを紹介した
とても分かりやすくて読みやすい本です。特に若い人にはお勧めですよ。
名利に使われて、閑(しず)かなる暇(いとま)なく、一生を苦しむるこそ、愚かなれ。
清貧の思想
昼休み丸善で見た忘れもしない初版の表紙の衝撃
そのまま購入しました。
金融の世界にいましたが何だかおかしな日本になってしまい
心がちょうど求めていた書でした。
以後良寛や親鸞など読みふけりました。
その後あっという間にベストセラーになり
彼を批判する人も結構いましたが
今読み返してもいい本です。
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