サウスバウンド スペシャル・エディション [DVD]
私はサウスバウンドの原作を読んでいません。他の方々のレビューを幾つか拝見させて頂きますと、原作は良いが、映画は原作と「比較」して見劣りがするという意見が多い様に感じました。 私も原作を読んでいたら映画作品に対する感想が変わっていたかも知れません。でも私は原作と映画は全く別物と考えています。 確かに映画はラストシーンで元学生運動をしていた両親が何故子供達を置き去りにして船で逃走したのかが良く分らなかった気がします。また村の住人に許しを得て住んでいた土地が企業に買い取られ、結果不法占拠状態になっても住み続けた事は法的には許されない事も分ります。 しかし法律が絶対的に正しいとも言い切れません。サウスバウンドという映画を観て感じた事は、法的には許されない事でも、その事を基本的人権の観点から不当だと感じたならば、トコトン抵抗する事も有りかなと思いました。じゃあ何でラストで逃げたのかが説明がつきませんね…。 私は一気にこの映画を観ました。ユンボが落とし穴に落ちるシーンは笑っていました。 一つだけ難を言えば、映画冒頭でのカツアゲの演出がおざなりに感じた事です。「リリィ・シュシュのすべて」「青と白で水色」ではそのあたりの演出が目を背けたくなる程リアルな印象を受けました。これは映画作品どうしの比較なので許して下さい。 結論はエンタテイメントな作品と割り切れば面白かったと感じましたので星四つです。
真夏のオリオン [Blu-ray]
戦争を体験していないで戦争映画を評価するのはおこがましい。
悲惨さを描けば納得するのも変だ。
激しい戦闘を描かなければ戦争映画ではないのか?
当時は全国民が戦争に巻き込まれていた。
一人ひとりに物語がある。
どんなに本を読んで調べても知りうることは一人の体験者を風がかすめた程度でしょう。
この作品はこれまで描かれたことのない実在した艦長がモデルになっています。
生きるために戦った戦士。どのように戦ったのか、どうしても観て見たかった。
それともう一つ。
出演する女優がたった一人ということ。
戦場で愛する人を想い必死に戦う兵士たち。その心情を
家族や恋人との絆を、たった一人でどう表現するのか?
戦場が海で、潜水艦乗りなので殆んど海中での頭脳戦です。
何しろ日本軍には残された武器もわずか。
無駄にせぬよう戦う勇士たち。
艦長が恋人を回想するシーンが艦長の人物像を浮き立たせる。
恋人がスクリーンに映る時間はわずかながら、鮮明に残るその存在感は
一人でも充分に際立っている。天晴れ!です。
このような上官が実在したことが何より救いでした。
そして、戦争は悲惨だった、間違いだったと否定しているだけでは
何の教訓にもなっていないのではないか?と思い至り、
今後の戦争映画の方向性を見た気がした。
戦争映画を観て救われたのは初めてです。
このような作品を待っていたのだと気づかされました。
何度も繰り返し観てしまう。
戦争を体験していないけど、他人事ではない方には必見です。
重荷が少し楽になりますよ。