夢の山岳鉄道 (新潮文庫)
1993年にJTBから出た単行本の文庫化。
登山鉄道に乗る話ではなく、新たに登山鉄道をつくろうという話。近年、ものすごい人手に悩まされる上高地。それを見た宮脇氏は「登山鉄道で全て解決できるのではないか」と思ったのである。道路を廃止して跡地に鉄道を敷く。用地は半分以下ですむし、排気ガスや騒音からも解放される。そして実際に路線図を引き、ダイヤグラムまで考えてしまうのである。環境に配慮した現代的なアイデアだし、現実性も高い。
同様に富士山、屋久島、比叡山などでも登山鉄道の企画が立てられる。二番煎じの感が強く、すぐ飽きが来るけれど、面白い一冊であった。
しかし現実に列車に乗った記録ではないために、宮脇氏本来の魅力は薄れてしまっている。
ウェールズのスノウドン登山鉄道など、ヨーロッパの実在の登山鉄道に乗った記録も合わせて収められている。