日記―「ヘブン・アンド・アース」中国滞在録
ほぼ全編に中国人スタッフへのグチがこれでもかと云うほど書き込まれているにも関わらず著者の憤りの勢いが乗り移ったかのように一気に読まされてしまいます。仕事の関係で数え切れないほど中国を訪れている私には全てとは言いませんが、「確かにそんな中国人多いよな」と頷くことが多かったです。
中井貴一/ベスト・アルバム
(1)愛しのサブリナ
(2)リオ・デジャネイロ
(3)青春の誓い
(4)噂のルーズガール
(5)セカンドヒーロー
(6)二人だけのラブコール
(7)俺だけのマドンナ
(8)君はトロピカル
(9)夕日の中で
(10)S字のララバイ
(11)別れのビーチホテル
(12)雨のリバーサイド
(13)夏いろのドレス
(14)今さらさら
最後から二番目の恋 DVD-BOX
少し間違えたらドロドロになりそうな展開(出会い系サイト、病気の再発etc)や人間同士のギスギスした会話もギャグっぽく、時にほんのりとシリアスに見せてくれるので非常に見やすくてはまってしまいます。
作中で小泉今日子さんが演じる千明が「人が死ぬドラマなんて作りたくないの。重いだけ、あたしは様々な人たちの気持ちを描くドラマを作りたい。]と言っているようにこのドラマはそういったドラマに対する皮肉にもなってるのかなと思いました。
基本的にはコメディー調で見せてくれるのですが、それと同時に作中の人物たちが抱える悩みを通して寂しさや、切なさも感じます。けれど、その寂しさや切なさは誰しもが抱えてしまうものなのだから、寂しい寂しい言ってないで人生をもっと楽しもう。そう思わせてくれる素敵なドラマでした。
日記〈2〉「鳳凰わが愛」中国滞在録
最初の中国滞在録『日記』からはうってかわって、中国の人や大地に身も心も溶け込んでいる中井貴一がいる。中国の人の、おおざっぱなところや、いい加減なところなども、「想定内、想定内」と笑っている感じだ。そしてそんな国の特性なども見極めたうえで、『鳳凰 わが愛』という映画をどう製作していくか、役をどう演じるか、そこに集中している著者のプロ根性に感動した。最近とみに、海外で仕事をする俳優が多いし、「日本とその国との架け橋になりたい」なんて言葉もよく聞くけれど、やっぱり1回では嘘っぽい気がする。本当に再度中国に乗り込んで、日中合作映画を作り上げた中井貴一は立派だと思う。見習いたいものだ。
父の贈りもの (角川文庫)
私は佐田啓二のことをよく知らない。映画もほとんど見たことがない。
図書館で、ふとこのタイトルと作者名を見て手に取ったのは、池部良のエッセイに佐田啓二と奥さんのことが書かれていたから、だと思う。
ひょっとして、池部良のエピソードもあるかなと思ったら、解説が彼だったので借りることにした。
佐田啓二――今はもう、中井貴一のお父さんというのが、一番分かりやすいだろう。
かつて一世を風靡した二枚目俳優であり、木下恵介や小津作品の常連でもある。そして、東京オリンピックの年に三十七歳の年で事故死した。その時、中井貴一は僅か二歳、姉の貴恵さんは六歳だったという。
貴恵さんと同級生の子を持つ故田村高広の話によれば、夏休み明けの父兄参観を非常に楽しみにしていたという。
また、貴恵さんが生まれたときには、小津監督に「美女誕生」と電報を打ったそうだ。
子煩悩で、仕事が休みになるとよく子供たちと遊んだらしい。この本には、何枚かそういった写真が出ている。
中井貴恵が、僅かな記憶と他人から聞いた話を書いたこの本を読んでいると、本当に惜しい、と悔しく思う。「いい人」と表現されることが多いが、むしろ「いい奴」だったのではないか、と思う。
小津監督のエピソードもある。彼は中井貴恵を大変可愛がったそうで、彼女の母親が彼女を叱ると、「お前は鬼のような奴だ。何でこんな可愛い子を叱るんだ!」と泣き腫らした目で怒ったそうだ。また、中井貴恵は小津監督に何度も「いないいないばあ」をさせた、とそういう話がいくつもある。
普通であれば、聞くことのないエピソードの数々。ほのぼのとして、笑ってしまう。中井貴一の天然ボケは、間違いなくDNAのなせる業だろう。(いい意味で)
佐田啓二がもう少し長生きしていたらと思う一方、そうであったなら、中井貴一という役者は存在しなかったかもしれない、と思う。
小津監督が呼んだ、と思うほかないだろう。全て運命なのだと。
収録された写真を見ると、佐田啓二と中井貴一がそっくりなのに何度か驚く。
これも血なのだろう。
中井貴一の書いた、こういうエッセイも読めるなら読みたいものだ。