RELAXIN’WITH JAPANESE LOVERS VOLUME2 JAPANESE LOVERS ROCK MORE COLLECTIONS
待ちわびた第2弾。
割とレアRMXや大ネタが多く好内容ながら
トータルとして纏まりにやや欠ける感のある前作に比べ、
今作はうまくまとまっている。
一言で言えばソフト&メロウ、ダビィな一枚で、
ARIWAなんかに非常に近い感じ。
派手さに欠けるけどそれを補って余りある地味名盤。
個人的にはナチュラルカラミティの森俊二のペンによる
UAの名曲、#2が嬉しかった。
HIP HOP BIBLE-白盤-
日本語ラップに歴史あり。草創期の日本語ラップのコンピレーションです。シングルヒットのDA.YO.NE.、今夜はブギーバックも収録。未聴音源も多く、歴史を概観できる良い選曲です。こうして振り返ってわかるのは、政治的なメッセージはきわめて少なく、コミックソング的なものも多い、必ずしもR%B系でない人も多く関わっている、いや、ミュージシャンですらなかった人もいますね。新たな文化が生まれる時は、そもそもジャンルの垣根を越えたクロスオーバーな動きによるのでしょう(これって実はアメリカのヒップホップも同様なんですが)。佐野元春、m.c.A.T.などは入っていません(賢明と思いますが)。ひとつ残念なのは、歌詞が載っていないのはまぁしょうがないとしても、各曲の制作年の記載がないこと。こういう企画は資料価値なんですからエガイツさん!
見仏記 (角川文庫)
仏教美術を愛好する諸氏には、内容の是非は兎も角、一読すべき書であろう。私も京都で大学時代を過ごして以降、今に至るまで神社仏閣、古蹟城跡を巡ることが大好きだが、それでも尚、自身の拝観姿勢を問い直す価値を持った書である。
研究者による専門書以外に、所謂初心者が著した仏像の拝観紀行など、今までにあっただろうか。大多数の仏教美術愛好者は、仏像拝観という趣味が、内面的で、個人的で、自己の内なるものと対話する為のもので、エンターテイメント性など微塵も考え及ばなかったのではなかろうか。手にする関連書籍も、恐らくはより専門的で詳細な、仏教美術学者の手による解説書であるだろう。
そういった世間一般の姿勢に対して、堂々と、尚且つ自然体で、自分流の拝観様式を確立し、世に知らしめた本書は、恐らく多くの人たちに衝撃と、高雅で専門知識が足らずとも自由に仏像の前に立てる、いわば仏閣の敷居の高さを引き下げる効果をもたらすものである。
我ながら自問せざるをえなかった。果たして本当に仏像を見つめて来たのか。また、どちらかといえば仏教建築とその所在する環境を好んで見てきた今までの拝観の中で、心に残る沢山の仏たちを見つめてきたが、いとう・みうら両氏の目線に勝る熱意をもって見つめたか、と。
みうら氏は仏像を「ブツ」と呼び、「オレは巨大なブツに飢えている」と言い、仏像の前で釈迦の涅槃宜しく横になってブツを眺める。されど誰もそれを非礼と言うべきではない。仏は我々一人一人を見つめて、その内なる自我を戒めるために何百年も佇むのであり、仏は自身を拝む儀礼は一切要求していない。古来東西の宗教はみな、草創期の姿を畸型化させ、僧侶や教会・神殿によって様式化、儀礼化していく歴史を辿った。自由な解釈と姿勢を以て仏像に相対することが出来る現代の我々には、今こそ伝統や権威の壁に隔てられない「見仏」が許されており、それぞれの心にそれぞれの形の自由な草創期の仏の姿を刻む事が出来るのである。
本書の中には、頷ける部分も首を捻る部分も同時に混在する。その全てに正誤はなく、それらは全て仏像の前に立つ人がそれぞれの胸に刻む感動の記録なのである。いとう・みうら両氏の拝観姿勢を、我らは不真面目に見えつつも、限りなく真摯なものとして敬意を表すべきである。実際に仏閣に赴けば、大多数の不真面目でマナーに欠ける拝観者たちに出会うのであるから。…余談ながら、なぜ興味もない人々が寺社の拝観に訪れるのであろうか。大声で談笑し、飲食し、ゴミを捨てて帰り、落書きする。社会として、皆で恥を考えるべき問題である。
わが星 『OUR PLANET』 [DVD]
震災から一ヶ月が過ぎたころ、三鷹市芸術文化センターで「わが星」を観劇しました。ラップを取り入れた舞台だと聞いていたので、最初の内はそうかこんな感じかと思って、正直少し退屈を覚えながら観ていました。しかし後半、気づけば涙がぽろぽろこぼれ落ちて最後までずっと泣きっぱなしでした。震災後、一度も泣いてなかったからでしょうか。悲しいわけでもうれしいわけでもなく、ただただ涙がこぼれました。
ちーちゃん(地球)には帰る家があり家族がいた。震災後、それが当り前ではないとわかり、日常がどんなにかけがえのないものか痛感しました。地球が誕生して滅びるまで。人間が生まれて生きて死ぬまで。変かもしれませんが今頃になって生きて死んでいく覚悟ができた感じです。
この舞台を観に行って良かった。たくさんの人に観てほしい作品です。
見仏記〈3〉海外編 (角川文庫)
見仏、なんて私にはさっぱり縁のないこと。と、きめてかかっている人もいるのではないだろうか。でもやっぱりそこは日本人(東アジア人というべきか)、京都や奈良、はたまた近所のお寺の仏像になんとなく、なつかしさや慈愛、もっと簡単にいってしまえば『なんかいいよなー』と思うこともしばしばでは?そんな超普通レベルの仏像ファンすら、たのしくよめちゃう最高の旅行記がこれ。まるでその国にいるような錯覚を起こさせる、いとう氏の巧みな文と、そのなかのまたまた巧みなみうら氏のコメントがいい。アジア世界をちらりとのぞき、まなべる。でもやっぱりそれ以上に、このストレートのオッサン二人のとろけるように熱く甘い友情に心奪われてしまうのだ。