そっくりモグラ
ソフトマシーンが本来持っていたユーモアを取り戻したくてワイアットが結成したマッチングモール。
緩やかなメロトロンにのって牧歌的ほのぼのメロディーで歌う『O CAROLINE』から始まるが、
その後はこんな曲はひとつもないあたりもユーモアなのかな。
後には延々と初期ソフトマシーンのようなジャズロックが続く。
正直言ってこのバンドは気負った感が否めない。
『O CAROLINE』は名曲だけど、狙った感が強いし、後に続くジャズロックもプログレ好きにはアピールするかもしれないが、そこまで。
この後のワイアットのソロ数作品の方が音楽として完成度が高く、余裕のあるユーモアで充ちていると思う。
Little Red Record: Expanded Edition
中華人民共和国が台湾解放を訴える絵葉書をモチーフとしたそのジャケットがまずもって人の眼をひくこの Matching Mole の2枚目にして最後のアルバムは、Rock の人 Robert Wyatt の Jazz 演奏への欲望の高度の昂ぶりを、奇妙な緊張感を与えるプロデューサー Robert Fripp、そして、ゲストの Brian Eno が Wyatt の欲望を巧みに制御し、1作目に続き、またもや、素晴らしい化学反応による音楽化合物を創出、特に Wyatt の極めて巧妙なドラミングは驚異的、集中して聴くと戦慄を覚える程、しかしながら、バンドとしての総合的技量やバランスも極めて見事で、Rock の人 Wyatt の Jazz 欲が見事な迄に奇妙な果実として結した傑出の作品集。