ミリオンダラー・ベイビー (ハヤカワ文庫NV)
短編集かよと軽くみてた。やっぱりスポーツなら、映像の躍動感でしょ?
破壊のインパクトなら劇画でしょ?小説というメディアに、これらに匹敵する
味が出せるのか?不安を抱きつつページをめくる。杞憂だった。
BOXingを題材とした作品は数あれど、この作品は新鮮だ。なぜなら今まで
スポットを浴びてこなかったドラマがここにあるから。敗者のその後や、女プロ
ボクサー、セコンド、興行師などリングの外にもドラマはある。著者は経験者
ならではのリアルで緻密な視点でそれらを暴き切った。ホント新鮮だった。
長い歴史と巨大な組織の下、BOXは洗練されたスポーツだと思ってた。しかし
本書を読み、考えが変わった。本場のBOXは格闘技だな。僕たちルールに従順な
日本人と違って。巨額がうごめく本場は、いつだってエキサイティングだ。
大衆性のある映画・漫画と違い、活字BOXも悪くないな。活字だからこそ冷酷な
現実が伝わる。なんだコノ感じ?このジワジワ感。格闘が地味に気持ちいい。
今夜もブリキハーツを揺さぶって止まない。
表題作の他セコンド達の心理戦を描いた「黒いユダヤ」。60&90年代の黒人
代表二人のキングを題材とした意欲作「ロープバーン」。短編6本中この3本
はKO必至の名作。ただ最後の悪役に偉大なジョーダンの名を騙らせたのは、胸クソ悪かった。
PS●ボクサーと差別なら→『ザ・ハリケーン (角川文庫)』●記録映画なら→『モハメド・アリ かけがえのない日々 [DVD]』
Million Dollar Baby
映画本編はアカデミー賞作品賞をはじめとして4部門受賞で、内容については説明不要だろう。音楽もクリント・イーストウッドが制作しており驚嘆に値する。あのメインテーマの美しい響きに身をゆだねるとき、美しくそして切ないこの映画と一体になれる気がする。
このようなすばらしいサウンドトラックが国内版の半額以下で入手できるのだから、映画に感動したすべての人が購入すべきだろう。
映画で学ぶおしゃれな英語―「タイタニック」から「ミリオンダラー・ベイビー」まで
映画を観て泣いたり笑ったり、感性に新しい刺激を与えることは心の健康として必要だと思います。
また、日本語では表現できないネイティブな英語にはすてきな表現が隠されています。以前、映画館で観たときに俳優がしゃべっていたセリフが、この本を読んで“あぁ、そういうお洒落なことを言っていたのか!”と再発見させられ、ビデオやさんに走らされました。もちろん言語は英語で。
ただ私は白黒の古い映画も好きなので、著者の次の企画に期待します。
オリジナル・サウンドトラック「ミリオンダラー・ベイビー」
今でも映像があふれ出す気がする。あの光景が体の中に流れてくるかのようだ。イーストウッドは名監督、名優であるだけでなく、ジャズ・ピアニストでもあり、その音楽好きは有名だが、自身の音楽のセンスの良さも際立つ。レニー・ニーハウスとのコンビも相変わらずいい。その存在はイーストウッドの映画の美術担当のヘンリー・バムステッドにも引けを取らない。今回はジャズについてはあれこれ語りません。その必要はないですから。じっくりと堪能して欲しい。「ミリオンダラー・ベイビー」を見た者はきっと忘れない。あなたがあれ程の映画を撮ってくれたことを感謝します。 何か強烈な決意を感じさせる彼の表情は今まで撮ってきた映画を物語っている。ここ数年は特に凄い。何が彼をそうさせるのか、私たちは彼の映画を見てその答えを少しでも導き出せるのか。文句なしの5つ星です。やられました。参りました。レビューを書くときは眼鏡をフランキーのものにします。これなら壊れませんから(既に眼鏡が壊れた後ですから)。物語を思い浮かべながら、私はこれからもこの曲を聴き続けるのだろう。あの映画を見た人たちと分かち合いたい。
ミリオンダラー・ベイビー [DVD]
イーストウッドの監督作はこれまで数本観てきたが、この作品以上に観た者の琴線に触れる作品はない。この作品がアカデミー賞に輝いた理由が最初に観た時に理解できた。言葉も出ないくらいの衝撃だった。しかし、この作品のテーマを真に理解するためには数回観ることが必要だった。私はこの作品の「テーマ」を「人生をどう生きるか」であると捉える。作品に登場する人物は皆、それぞれ違う過去を持ち、それぞれがその辛い過去を後悔している。だが、マギーだけは過去を顧みるでもなく、必死に未来を追う。その姿にフランキーもスクラップもあるいは観ている我々自身も自分の姿を重ねているかもしれない。もちろん語られない部分があるのは事実だが、それは大して重要ではないと思う。この映画で重要なのは辛い過去を顧みず、未来を追うマギーの生き様である。彼女の最期がどれほど悲劇的なものにしても夢を追うことには必ずリスクが伴う。この現実的な物語を映像化したイーストウッド監督を初めとする俳優たちに賛辞を送りたい。